- 「そんなこと聞いていない」「約束と違う」と言われた。
- 自分/社内の誰も明確な証拠が残っていないから、真実がわからない。
- 先輩から引継ぎを行ったら、実在する情報がないから戸惑っている。
- 先週話し合った内容で進めていたら「そうは言っていない」と言われた。
仕事をしていくうえで、「約束」を守ることは必然です。
誰しも、またどんな仕事でも、人と関わっていく以上「ここまではします」という約束を大なり小なりしたことがあるはずです。
少し前のエントリーですが、アメブロでキングコングの西野さんが「契約書は要らない、口約束でいい」という意見を発信されていました。
“僕は事務所とは「口約束」で進めていて、自分の活動の全てを事務所に報告し、吉本のマネージャーと全てのスケジュールを共有し、摩擦が起きれば都度都度話し合いの場を設けて、互いに納得がいく形を探っています。”
吉本興業の「契約」について思うこと by キンコン西野
西野さんの意見自体は面白いものも多く、参考にさせていただくこともあるのですが、こと今回の契約書に関しての意見についてはそのまま実行してしまうのは危険です。
口約束が危険なわけ
もちろん立場があって自分の仕事が口約束で進めたところで問題がなく、かつお互いに信頼のある人同士なら口約束でも良いかとは思います。
ただ、人間である以上行き違いや認識の違いというのはどうしても発生します。
そういった意味でも、口約束は本当に危険です。
例えば「家を建てよう」となり平屋で家を作った後に「ユニットバスだった」「全部込みで3,000万円だと思っていたら土地代は別だった」とかもあり得るかもしれません。
西野さんのように「摩擦が起きれば都度都度話し合いの場を設け」られたり「ナアナア」でもお互いがWIN-WINなのであれば良いのですが、多くの場合は「言った/言わない」のトラブルが発生する恐れが高いです。
そうなってしまうと客先から叱責を受けるだけでなく社内でも行き違いが多く発生することになり仕事が思うように進まなくなっていき、多数の業務に追われていくことでそれらが積み重なりますます悪いループへとハマっていき業務意欲ならびに業務成績は低下し「自分がやりたかった仕事って何だろうな」と思うようになりどれだけ睡眠をとっても日中に睡魔に襲われるようになったうえで「この仕事は自分に向いていないかもしれない」と思うようになり、自分も気づかないうちに恐ろしいストレスを抱え込むことにも繋がりかねません。
言った言わないのトラブルを避けるために
私も個人事業主としてBtoCの営業をしたり、会社員としてBtoBの営業経験もあります。
前者の場合は基本、一度契約した後は委託元で処理するのでその後に打ち合わせなどを行うことはありませんでしたが、BroBの場合はとにかく「確認と同意」はくどいくらいに行っておくべきだと感じていました。
残る形で確認を進める
とにかくたくさんの経験を行ってきたからこそ言えることですが、例えばBtoBとして何か会社として使うツールを導入する、社のシステムを一新するといった大きな案件の場合。
そんなときにも、この「確認と同意」をしっかりできるかどうかだけでも勝ち取れる信頼と「導入側のモチベーション」にまで関わってきます。
具体的に言うと、こういった点に気を使っていました。
- 自分の受け持つセクションを把握する。(例えば契約~導入まで)
- その中でポイントごとに段階を区切る。
- 口頭ではなく、書面(もしくはメール)にて「先方にも形の残る方法」で確認を行う。
- 返答が得られていないときは催促する。
- 特に「金銭」が伴う場合は社内で事前に二重にチェックを入れたうえで対面で説明しながら同意を得る。
ある程度社会人経験を積んだ方であれば「そんなものは至極当然だろう」と思われてしまうかもしれませんが、これらを徹底するだけでも「無駄なトラブル」は減り、仕事を円滑に進めやすくなります。
「確認と同意」を取り続けるメリット
「こういった確認は最初と最後だけで良いから、いい感じで進めて」という顧客も過去にはいらっしゃいました。
しかしながらそういった顧客に限って(と言い切るわけでもありませんが)、「なぜここまで進めるまでに確認しに来なかった」と言われることもしばしばあります。
「最初にそう仰っていたからです」と突き放せればよいのですが、こと大切なお客様で有らせられる場合、そうぞんざいな言い方ができる方もそうそういらっしゃらないかと思います。
こういったトラブルは時間のかかるプロジェクトでは付き物ですし、そんな押し問答をしていても余計なストレスを抱えるだけなので、少し手間がかかっても事前にやっておくべきです。
連絡の行き違いを防ぐ目的もありますが、確認をこまめにすることには以下のようなメリットもあります。
- 連絡をするきっかけとなる。
- メールで連絡する場合、直接関わっていない相手にも連絡ができる。(報連相の一環)
- 余計な手直しが減り、問題を早期に見つけられる。
- すり合わせを細かく行っていくことで、帰って納品までの時間短縮となる。
心理学の言葉で「ラポールの形成」といったものがありますが、コンタクトの回数はその相手に「担当を売る」ことができます。
もちろん、最低限問題なく業務を遂行していくだけのレベルは必要になりますが、逆を言うと「そつなく仕事をこなす」だけで「おっ、なかなかしっかりしてるな」と思われることが多くなります。
また私は確認によくメールを使っていたのですが、メールにCcやBccを付けて上司や相手方の関係者に一斉に連絡をすることで、簡素ではありますが「進捗報告」としていました。
別途自社の上司には報告は必要ですが、メールをチェックする上司であれば「ざっくりと」進捗を報告しておくことにつながります。
さらにある程度プロジェクトが進んでしまってからでは難しいリテイクも、早めであれば工数は少なく済み、結果として納品まで円滑に進めることができます。
まとめ
仕事がスムーズに進まないとき、やってはいけないとわかっていながらも「自分の判断で進行」させてしまいがちになります。
しかしながら、あまりネガティブなことは言いたくはありませんが、ちゃんと口頭で説明したことを「それは聞いていない」と仰るお客様は必ずいます。
社会人として、当たりまえといえば当たりまえなのですが、余計なトラブルは余計なストレスに繋がり、悪いループに陥ってしまいかねません。
そのため、確認/同意はこまめに取って業務は進めていきたいですね。
- 形にできる確認を行わないと「言った言わない」のトラブルにつながる。
- こまめに確認するだけで「しっかりしているやつ」と思ってもらえる。(バランスはありますが)
- 一つ一つは手間がかかるが、結果としてスムーズに業務が進む。
理不尽な思いをすることはある意味で精神の鍛練にもつながるかもしれませんが、無駄なトラブルはストレスを積み重ねていき、業務効率の低下につながります。
この記事が、どなたかの「ちょうどいい働き方」のヒントに繋がればよいなと思います。