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#17 ネガティブ禁止の弊害と先輩の退職

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  • 職場は「人」が大事だね!
  • 「ネガティブ発言禁止」って改善点にフタをしてるだけだよ!
  • 心にもフタをすることになるから、そりゃもうぶっ壊れるよ!

「ネガティブ禁止」の弊害

初月の報酬は約30,000円。

その翌月の報酬は覚えていませんが、正直自分の収入だけで生活できる金額ではありませんでした。

本当に情けない話ですが、さすがに家賃等のライフラインや緊急時に連絡が取れないと困るので、携帯料金等の固定費は親に事情を説明してお金を出してもらったこともあります。

親はもちろん心配していましたし、それでもなぜすぐに辞めなかったのは今となっては不思議でしかないですが、その当時はなんとかできると自分を信じ込ませるようにしていたのだと思います。

その理由の1つでもあるのが、この会社のグループの考え方でもある「ネガティブ禁止」。

シンプルに「ネガティブなことは考えない、発言しない」というものですが、これによりある意味「洗脳に近い状態」になっていました。

前向きに考えることは、大切なことであると思うと同時に、非常に危険なものでもあると思います。

毎朝ブースに向かう前ミーティングを行うのですが、その場でちょっとでもうまくいかないことを言うのはもちろん、リーダーやほかのメンバーと一対一で話しているときでさえ少しでもネガティブにつながりそうなことを言ってはいけない空気がありました。

また、これは勤務していくうちに解釈がどんどんねじ曲がってきたパターンだと思いますが、

今日は暑いね、寒いね。

今日は雨が降ってるね。

こんなことまで「あっ、ネガティブですか?」と言ってきたヤツまでいました。

おとおしゃん
おとおしゃん
久々に思い出しながら書いてるけどよっぽど異常だよね。いやむしろもうはっきり言っちゃうとバカでしょ。
セイ龍(ロン)
セイ龍(ロン)
はっきり言うな。

遠方への負担

2ヶ月半ばが過ぎてくると、初めは地下鉄で2-3駅程度だったり自転車での範囲内のブースが中心だったところを、どんどん地域も拡大していきました。

もちろん、範囲が広がったとしても基本的に交通費は自費。

中には片道1,000円程度交通費がかかることもザラでした。

私がいた時期で、この会社には人数が多くて12-13人くらい在籍していました。

それに伴い、ウォーターサーバーの催事を行うブースも複数に分かれていて、毎朝当日に社長が各ブースに偏りが出ないように割り振ります。

遠方ばかり、近場ばかりにならないようルーティンも見てバランスよく配置していたのだと思いますが、もちろん「お金がないので遠方はキツイです」とは言えません。ネガティブ禁止なので。

遠方が増えてきたからかこの頃から「1件でも契約が取れれば交通費は別途支給」となったのですが、それでも1件も契約が取れなければ報酬が0円どころか、働けば働くほどマイナスとなっていく結果となっていきました。

せっかく自転車圏内に引っ越したにも関わらず、交通費のほうが報酬を上回った週もザラにありました。

おとおしゃん
おとおしゃん
それでも通勤で月間30,000円かかるよりかはよかったけどさ。

先輩の退職

それでも何とか3ヶ月目はコンスタントに契約が取れ、月のトータルで30件ほど契約をいただけました。

若おとお
若おとお
最低限これくらい稼げれば何とか生活はできる……!

そう思ったのもつかの間、この月がピークであとは落ちていくばかりでした。

なお、このグループ会社では「一日にある一定以上の売り上げ・契約をすると置いてあるベルを鳴らして全員で祝福をする」という決まりがありました。

通常は「グッジョブ!」とか「おめでとう!」といった感じでお祝いの言葉をかけると思うのですが、この会社では「JUICE!(ジュース!)」というのがルールでした。

  • J:ジョイン
  • U:アス
  • I:イン
  • C:クリエイティング
  • E:エキサイトメント

昔のメモにこう書いていて「お前のクリエイティブな体験に俺たちも参加させてくれよ!」みたいな意味合いだったと思います。

初めての契約から良く見てくれていた先輩は時々このベルを鳴らしていて「さすがだな」と思うこともありました。

しかし働き始めて4か月目の半ば頃、その先輩が突然いなくなったのです。

とある朝、ミーティングに参加するオフィスに到着して準備等を進めていても、いつまで経っても来ません。

「体調を崩したのかな」と思っていましたが、何事もないようにミーティングは開始。

「あれ?△△さんは?」と気軽に聞くこともできない空気。

数日経っても姿を見ることはなかったので、退職(業務委託契約なのでこの言い方が正しいかわかりませんが)したのだと悟りました。

もちろん、会社的には単なる「ネガティブな情報」なのでわざわざ発表するなんてことはありません。

元々いなかったようにルーティンは進み、業務は始まります。

最も慕っていた先輩の退職。

これはある意味、自分が稼げていない事実よりも精神的なダメージが大きかったことを覚えています。