先週、リクガメのエサについて大切なポイントを記事にしました。
そこで書ききれなかったのですが、飼育書にはよく「キャベツやブロッコリーは控えるように」とあります。
先に結論を言っておきますが「問題はないがカルシウム不足」なので、それ単体での長期給餌は避けた方が良いです。
今回はこの、キャベツやブロッコリーなどアブラナ科の野菜について見ていきましょう。
リクガメと「ゴイトロゲン」
リクガメの飼育書には、キャベツやブロッコリーは控えるか、副食程度にとどめるようにと書かれています。
この理由として、キャベツを中心としたアブラナ科の植物には「ゴイトロゲン」という物質が含まれているからと言われています。
この「ゴイトロゲン」が、ヨウ素の吸収を妨げ「甲状腺機能低下症」を引き起こすため、リクガメにはあまり与えないようにというのが定説です。
ただ、今回お伝えしたい大事なこととして「ゴイトロゲン」は「アブラナ科の野菜」に多かれ少なかれ含まれるということ。
そして……
小松菜もチンゲン菜も「アブラナ科」
キャベツやブロッコリーなどアブラナ科の野菜、野草はあまり与えないように。
これは「ゴイトロゲン」がリクガメの健康を損なう可能性があると考えられているから。
でも実際には、リクガメのエサとして重宝されている小松菜をはじめ、主要なものにはアブラナ科のものがとても多いんです。
このように、小松菜やチンゲン菜など、カルシウムとリンのバランスが良い野菜にはアブラナ科が多く含まれます。
葉つきで売られてた日には、すべてのリクガメ飼育者大歓喜のシロモノであるカブの葉なんかもそう。
つまり避けては通れないんですよね。
「ヨウ素」を十分取れていれば問題なし
キャベツなど「ゴイトロゲン」を含むアブラナ科の野菜は、偏って与えすぎるとリクガメの健康を損なう恐れがある。
しかし小松菜やカブの葉など、リクガメにとってメジャーなエサもアブラナの野菜。
「ほなどうしたらええねや!?」
という声が聞こえて来そうですが、これについては「必要十分なヨウ素」を吸収できていればトラブルは起こりにくいというのが結論です。
まず、 人間もそうですがリクガメにも「甲状腺」という器官があり、その異常である「甲状腺機能低下症」 という病気があります。
その「甲状腺機能低下症」に陥るおおまかな流れが以下の通りです。
- 通常、甲状腺ではヨウ素を材料に「甲状腺ホルモン」を作っている
- 「ゴイトロゲン」は甲状腺がヨウ素を吸収する働きを阻害する
- ヨウ素が足りないと甲状腺はなんとか 「甲状腺ホルモン」 を作ろうとして肥大する(甲状腺腫)
- それでもヨウ素が足りないので甲状腺の機能が低下する(甲状腺機能低下症)
ということで必要な分の「ヨウ素」を摂取・吸収できていれば、多少のゴイトロゲンが含まれていてもリクガメに問題はないのです。
それこそアブラナ科ですが、カイワレ大根などにもヨウ素は豊富に含まれているのでアリですね。
サプリなどで添加しようにも適量がわからないので、栄養成分が明記されているフードを、普段の野菜に混ぜてあげるとより安心かもしれません。
偏った給餌にならないことが大切
「ゴイトロゲン」そのものはよほど偏って摂取しなければ問題ありません。
かといってヨウ素が少なすぎてもいけないです。
とはいえ、すべての栄養素を計算しながら食事をさせるとなると、人間でもそこまで管理している方もあまりいないのではないでしょうか。
また、野菜・野草全般にも微量なヨウ素は含まれており、そのことからリクガメも通常のエサからヨウ素を摂取していることになります。
つまるところ「バリエーションの1つ」としてであれば、キャベツもブロッコリーもなんら問題はありません。
ただし、芽キャベツだけは避けたほうが良いと思います。理由は以下の通り。
まぁ正直、芽キャベツなんてものは狙って買うくらいじゃないとそんなに手に入らないと思います。
でも、もし「あげてもいいのかな?」と思っている方はやめたほうが良いです。
おわりに
アブラナ科の植物に含まれる「ゴイトロゲン」とリクガメについて解説しました。
キャベツやブロッコリーをはじめ、小松菜やチンゲン菜といったものもアブラナ科に分類されるので「えっ」と思った方ももしかしたらいるのではないでしょうか。
言ってしまうと私もそうでした。
ただ、野生下のリクガメは100種類以上の植物を口にしていると言いますし、その中には多少栄養が偏ったものもあるでしょう。
結局のところどんなエサにせよ「それだけを与え続ける」ことはよくありません。
いろんなエサを食べさせて、偏食なども防ぎつつ健康に育てたいですね。
ではまたまた~ノシ