こんにちは、おとおしゃんのコングロマリット(=おとコン)ミーゴラン(@thrs_f)です^^
以前、リクガメの飼育方法の中で「床材」について書きました。
家庭で飼育しやすいリクガメの種類として、ギリシャリクガメやヘルマンリクガメといった「チチュウカイリクガメ属」が挙げられます。
このタイプのリクガメ(ロシアリクガメも含む)は「乾燥系リクガメ」と分類されています。
皆さまは「乾燥系」と聞くとどういった場所を思い浮かべますか?
砂漠のように雨の降らない環境でしょうか?
砂埃が舞い、タンブルウィード(西部劇とかでよく見る草)が転がるグランドキャニオンのような荒野でしょうか?
結論を言うと、それを前提とした飼育環境の構築は間違いです。
もし、そのような環境をイメージしているとすれば、情報の落とし穴にはまっている可能性があります。
先にこの記事で言いたいこととしては、以下の通りです。
ということで、今回は主に乾燥系リクガメ飼育における「湿度」について見ていきましょうっ!
「湿度」について
まず、「湿度」というものについて簡単に触れます。
湿度は、ざっくりいうと空気中に含むことができる水蒸気の割合を数値にしたものです。
空気中に含むことができる水蒸気は、気温によって含有量が変化します。
気温が高いときほど多くの水分を含むことができ、低いほど空気中の水分は少なくなります。
この湿度は「相対湿度」というもので、一般的に「湿度」というとこの数値を表します。よく天気予報などで聞くものも相対湿度になります。
リクガメの棲息地エリアの湿度
「乾燥系リクガメ」とはいえど、乾燥しきった環境にいるわけではありません。
ではどういった環境に生息しているのかというと、飼育しているギリシャリクガメを起点に地中海周辺の湿度について調べたものがこちらです。
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ねっ?(圧力)
取り乱しました。
大まかに言うと、地中海周辺は冬でも70%前後の湿度があります。
というより日本にいるとあまり気づかないのですが、地中海周辺は夏乾燥していて冬湿度が高いので日本とは真逆なんですね。
さらにリクガメがいる地面近くは温度が下がりがちなので相対湿度も高まりやすい傾向にあります。
土を掘ったりすることもあり、土の中はしっとりしていることも多いでしょう。
もちろん地域差などはあれど、カラカラに乾燥しているよりある程度湿度を高めたほうが良いのはこれでお分かりいただけたはずです。
湿度が低いことによるリクガメへの弊害
「乾燥系リクガメ」とはいうもののある程度湿度がある環境に生息している。
逆に、湿度が低すぎると様々な弊害を生みます。
代表的なものとしては「鼻水・肺炎」です。
鼻水・肺炎は温度が低いことで発症しやすいと言われますが、湿度も重要です。
そのほかにもさまざまな問題が発生しかねないので、いくつか紹介します。
脱水
湿度が低いと、呼吸するにも水分を消費します。
水入れを置いていても、積極的に水を飲むかどうかは個体によるので、気づかないうちに脱水症状に近い状態になることもあります。
言うまでもなく、脱水状態になると食欲がなくなったり動きが鈍くなったり、最後には命を落としかねません。
病気になりやすく・治りにくくなる
乾燥しすぎている状態は、リクガメが病気になりやすくもなります。
「鼻水」や「肺炎」も、呼吸器官に細菌やウイルスが入り込んで発症しますが、リクガメには横隔膜がないので「咳・くしゃみ」ができません。
体が無意識に病原体を外に出す働きができないので、入ってしまったものは体内で排除する必要があります。
その際、湿度が低いと粘膜も乾燥してしまい治りが遅くなったり、改善が見られない状態になりかねません。
甲羅の形成に大きく関わる
「湿度」はリクガメの甲羅の健全な成長に大きく関係があります。
甲羅の成分は人間でいう「爪」に近いものなので、あまり乾燥した状態が続くと甲羅がカラカラになってしまいます。
そうなるといわゆる「癒着」した状態となり、リクガメの成長(甲羅の形成)に異常をきたすことがあります。
甲羅の凹凸の原因は「湿度」
また、リクガメを飼育していると「甲羅を丸くキレイに育てる」ということも1つの目標としている方も多いです。
「甲羅がピラミッド状にデコボコする原因」としては、タンパク質を与えすぎることがよく挙げられます。
しかし実際のところはタンパク質はあまり関係はなく、湿度が重要であることがリクガメ研究で明らかになっていることをご存じでしょうか?
(英語の論文ですが、頑張って読みました。)
ざっくり実験内容を解説するとこんな感じです。
すると、エサの質はきれいな甲羅を形作るためにはあまり関係なく、湿度との関わりが深いことがわかりました。
↑上から湿度「低い・中間・高い」の順(参考元URLはこちら)
なめらかな甲羅を保ちたいのであれば、湿度が重要なことがさらにわかりますね。
湿度管理の対策は?
室内のケージであれば、床材に散水するのが最も手っ取り早いです。
パネルヒーターを設置しているのであれば、その上付近に水を撒くことで下からの熱で蒸発するのでいい感じにしっとりします。
我が家ではこんな感じで床材に水を含ませて加湿し、常に概ね60~80%くらいで管理してます。
また、直接湿度には影響しませんが、朝起きた後に霧吹きで甲羅に水をかけてあげるのも良いと思います。
これ、園芸用の霧吹きなんですけど、ケージに手を入れて霧吹きするとうまく霧吹きできなかったりするのでおススメです。
上級者さんになると、ペット用の加湿器を使って湿度を保っている方もいらっしゃいますね。
「うちはこんな立派な加湿器まではなくてもいいな」という方は、自然気化式の加湿器だけでも置いておくと急激な湿度変化が防げるので良いですよ。
ヒーター下は特に乾燥に注意!
ケージ全体の湿度を高く保とうとしたとき、見落としがちなのがヒーターなどのすぐ下です。
熱源が近くにあるので、どうしても乾燥しやすくなります。
なのでヒーターを設置している近くに加湿できるものを置いたり、その部分の床材に多く水を含ませたりと対策が必要です。
我が家では素焼きの加湿器をヒーター下に置いてます。
それでも乾燥した日が続くと湿度が不足しやすくなるので、床材に水を撒いたりして高めの湿度を保つようにしています。
終わりに
リクガメは日本の川にもいる淡水ガメと違い、泳いだりしません。
それもあってか、種類によっては砂漠のような場所に生息していると思われがちですが、実はそれほど乾燥している場所にはいません。
棲息地を完全に再現するのは無理がありますが、人間と同じく、適度な水分と湿度が重要であることはおわかりいただけたと思います。
ということであらためて「リクガメちゃんのうるおい、足りてますか?」というモイスチャーなCMでもって、この記事を終わりとさせていただきます。
ではまたまた~ノシ