リクガメの飼育温度は一定でいいんじゃないの?
あまり温度を下げると調子を落とすっていうから、いつも温度は25℃を切らないようにしてるよ?
飼育書に書いてあることが正解なんじゃないのかね?ん?
生き物を飼育するにあたり、温度管理は外せない問題ですね。
こんにちは、おとおしゃんのコングロマリット(=おとコン)ミーゴラン(@thrs_f)です^^
以前、ギリシャリクガメの飼い方についての記事を書きました。
その際、ギリシャリクガメの飼育に適した温度、湿度は以下を目安にと紹介しました。
飼育環境の温度 | 25℃~30℃ |
湿度 | 50~60% |
多くの飼育書にも概ねこの範囲での環境(+ホットスポット)にてリクガメを飼うよう記述されています。
ただどうしても飼育書は「教科書」のようなものなので、基本的なことは書かれていても、一歩踏み込んだことは記載されていません。
というのもたいてい「リクガメの飼い方」として取り扱われる書籍は、複数の種類をまとめて掲載されているため、1つの種に対しての情報量が少ないです。
つまり、大まかな飼育方法しか書くことができないんですよね。
そのため、どうしても本来の生態からすると、飼育書の情報だけを信じて飼育するのは正しいとは言えません。
今回は、我が家で飼育しているギリシャリクガメを軸に、リクガメが棲息している地域の気候を理解することの大切さを考えていきます。
ギリシャリクガメ飼育の適温とは
結論から言うと、ギリシャリクガメは年間を通して15℃~35℃くらいの範囲であれば十分問題はないと私は考えています。
ということは、「常に15℃」あるいは「常に35℃」でも良いということかね?ん?
「常に」ではないっす。あくまでそれくらいの「(温度勾配がある前提での)気温の上がり下がり」は許容できるということで……
ですが、一般的に販売されているリクガメの飼育書の中で、ギリシャリクガメを飼育する温度はだいたいこのように書かれています。
飼育環境の温度 | 26℃~30℃(昼と夜の温度差を作っても良い) |
ホットスポットの温度 | 35℃ |
もちろんこれは「一時的にリクガメが調子を落としにくくするため」という点では正解です。
しかし、年中この温度のままで飼育し続けるのは正しいとは言えません。
なぜかというと、野生のギリシャリクガメも周囲の温度変化を受け入れながら生きているからです。
棲息地の気温をピックアップ
ギリシャリクガメの棲息地育は非常に広いです。
本当にもう……あの、把握しきれないくらいです。
ですがこの広大なエリアに生息している以上、ギリシャリクガメに合っている、もしくは「許容できる範囲で生息圏を広げてきた」と言えます。
そこでざっくりですが、ギリシャリクガメが棲息している国の年間最高気温、最低気温をいくつかピックアップしてみました。
お わ か り だ ろ う か ?
(心霊番組のナレーション)
冬の間、常に氷点下になる地域は少ない印象ですが、地中海周辺にも夏があり冬もあります。
もちろん、細かく見ていけば国の中でも地域や標高などによって違いこそあれど、年間を通して気温が高い(一定)ではないことはわかりますよね。
また、当然ですが夜と昼の気温差だってあります。
この気温の変化に合わせて、リクガメは活発になったり、エネルギーを使わないようじっとしていたりと生活サイクルを変えています。
ギリシャリクガメの冬眠
ギリシャリクガメの棲息地によっては、冬にかなり冷え込む地域もあります。
そのため、場所や気温によっては冬眠をすることもあります。
リクガメが冬眠する適温は5℃前後と言われており、15℃を下回る頃から自分で温度が低く安定している場所を探して冬眠の準備に入ります。
そして冬眠した後、10℃を安定して超える頃になると冬眠を止めて活動を始めます。
そのことから、もちろん体の小さいベビーであれば別ですが、本来リクガメはある程度の低温にも耐えることができます。
むしろ、一年中常夏のような環境だとリクガメもバテてしまいます。
温浴をあまり頻繁に行うと、「エサを未消化のまま排泄してしまうこともある」ということもあるそう。
そのことから、常に高い温度を保つのも良くありません。
ゆったりと消化を促すためにも、常に体温が高い=代謝が良くなりすぎることが健康を損なう場合もあるということを覚えておく必要があります。
飼育下での冬眠の必然性
ただ、飼育下でのリクガメの冬眠については、私は必ずしもさせなくて良いと考えています。
というのも、よほど温度・湿度を適切な環境に保てない限り、リスクもかなり高いためです。
あまり詳細についての説明は省きますが、冬眠させるためには以下に気をつける必要があります。
- 冬眠中の温度の上がりすぎ、下がりすぎ
- 冬眠前のエサ抜き、消化・排泄
- 野良猫などによる掘り起こし(野外飼育の場合)
- 冬眠明けの食事、病気などの健康管理
0℃以下になるような低温はリクガメにも厳しく、10℃近い状態で中途半端に温度が高いと代謝が上がってしまい、冬眠できず餓死することになりかねません。
また冬眠前はお腹の中の食べ物・排泄物を空にしておかなければ、冬眠中に未消化の食べ物などが腐敗し病気になる可能性もあります。
また、ギリシャリクガメが棲息する地域と日本の土壌は性質が異なるので、現地よりも温度変化が激しいこともあります。
これらのことから飼育環境の温度を少し下げるくらいに留め、エサの量も応じて減らすなどで対策したうえで越冬をしたほうが、生体にも負担はかからないと考えます。
なにより「冬眠失敗 = 死」というのもやっぱり怖いので……
※ただし繁殖を促すためには冬眠させたほうが良いという意見もあるため、殖やしたい場合は環境を整えてから臨むことをおススメします。
大切なのは「温度勾配」
- 自然界のリクガメは、温度変化に対応しながら生きている。
- 代謝を高く保ちすぎるのもリクガメの負担となる。
これらの情報はリクガメにとって快適な環境を作るためのヒントとなります。
さらに加えて、リクガメ飼育に重要になってくるのが「温度勾配」です。温度勾配をつける理由は、リクガメが快適だと思う場所に自分で移動するためです。
リクガメは、寒ければ暖かいところに移動しますし、暑ければ涼しいところに移動します。
ベビーの時はある程度勾配が緩やか(=ケージ内がほぼ一定の温度)でも良いですが、できるだけ自分で調整できるような環境を用意してあげるのがベターです。
人間でも暑がりな人、寒がりな人がいるように、リクガメもそれぞれの個性によって好む場所も変わってきます。
我が家ではこの画像のように右側から左側になるにつれ、温度が低くなるように調整しています。
このときは12月半ばですがケージ内は13℃~23℃くらい、日中少し気温が上がるにつれ数℃上下します。
ちなみに私が住んでいる地域は比較的温暖ではありますが、年間の気温の変化はこんな感じです。
あまり急激な温度変化はリクガメにとっても負担になってしまうので、外に出すのはケージ内との気温差があまりない時だけです。
まとめ
今回のまとめです。
- エサをゆっくり消化するためにも、常に高い温度は良くない。
- リクガメの生息地がどんな環境なのかを調べてみる。
- 飼育環境内の温度は一定ではなく、メリハリを意識する。
ケージ全体を均一な温度に保つのは、リクガメが小さい時は体調を安定させるために有効かもしれません。
ですが少なくとも、ある程度成長したリクガメであればリクガメ自身に選ばせることが重要です。
おわりに
リクガメに限った話ではないですが、もともと野生に生きる動物はそれぞれ合った環境があります。
特に、哺乳類や鳥類であれば、恒温度物なのである程度寒い環境などでも慣れてさえしまえば問題はありません。
ただ、リクガメをはじめ爬虫類は周りの気温に応じてエサの消化や活動量なども変わってきます。
飼育書が間違っているわけではありませんが、絶対的に情報量は少ないので、疑問を持って調べることが大事になってきます。
リクガメに幸せに過ごしてもらうためにも、彼らにとって自分が快適だと思える環境を選べるよう、選択肢を与えてあげましょう。
ではまたまた~ノシ