リクガメのエサ、皆さまはどういったものを与えていますか?
リクガメフード、小松菜などの野菜、タンポポなどの野草……
草食動物であるリクガメは、思った以上にいろんな食べ物を口にしています。
そして草食メインであるがゆえ、時に人間よりも栄養面にはシビアに考える必要もあります。
ただ、シビアといっても、この記事の結論だけ先に言っておきます。
リクガメの飼育ってすご~く長~~いので、あまり気合を入れたお世話は続きません。
人間の精神HPが尽きてリクガメのお世話が適当になってしまったらそれはそれでよくないです。
言わずもがな、栄養のバランスは大事なんですが「完璧にやらなきゃ……」と思うと辛くなります。
基本的なことだけ覚えておいて、あとはゆる~くやっていきましょう。
ということで、今回はリクガメ飼育における「栄養」について触れていきます。
あっ、こんにちは、おとおしゃんのコングロマリット(=おとコン)ミーゴラン(@thrs_f)です^^
※今回のリクガメは「草食メイン」のリクガメ(ギリシャ / ヘルマン / ロシア / ケヅメなど)を対象にしています。
リクガメは何を食べるの?
一部を除き、リクガメの多くは「草食」です。
野性下では、時には虫や小動物なども食べているという話もありますが、基本的には野草や木の葉っぱなどを食べています。
それに加えて、リクガメが食べるもの自体は幅広くカボチャやニンジン、パプリカなど各種野菜や果物といったものも食べます。
ただ、飼育下では栄養面から、葉野菜・野草を中心に与えていくことになります。
基本は「高カルシウム・高繊維・低タンパク」
リクガメの多くは「草食」であることから、そのため野生下では、カロリーの少ない野草が中心となることは明らかです。
また、リクガメの場合その象徴ともいえる硬い「甲羅」があるので、その自慢の甲羅を保つためにカルシウムを多めに取り入れる必要があるのは想像できますよね。
さらに、リクガメの健康維持には、排泄もとても大事。
そのため繊維質を豊富に含むエサを与えることで、消化器官で食べ物が腐敗してしまわないよう「お通じ」を良くしてあげる必要があります。
タンパク質が多すぎると「結石」の原因に
高カルシウム・高繊維とは逆に、タンパク質は少なめに考えます。
タンパク質自体は、甲羅を作るための「ケラチン」だったり、リクガメそのものが成長するためにも必要な栄養素です。
ただ、肉食の動物のように多量のタンパク質を食べさせ続けるのはよくありません。
その理由として、タンパク質が多いエサを常食させることは、リクガメ飼育の中では有名な「結石」の原因の一つになると言われているためです。
リクガメの結石の原因はあまり研究されていないため、今のところ、タンパク質の過剰摂取と脱水という情報が有力だ。タンパク質を採ると尿酸が増える。尿酸は、体内の水が少ないと濃縮される。はじめは小さな結石の核が、次第にアコヤガイの中の真珠のように雪だるま式に大きくなるわけだ。
田向健一. 珍獣の医学 より
あくまで結石の原因の一つで、水分不足や個体差によって異なったり、完全に解明されているものではありません。
しかし「タンパク質の多いエサを与えすぎない」ということだけは頭の片隅に置いておくと良いです。
タンパク質を豊富に含む代表的なエサとしては、こういったものがあります。
- 一部の市販リクガメフード
- 豆苗、シロツメクサなどマメ科の植物
リクガメフードもマメ科の植物も、エサとして与え方によっては良いものです。
ただ、なんにしても言えることですが「それだけを与える」ことで栄養が偏ってしまうということは注意が必要です。
カルシウムとリンは「4~5:1」
カルシウムは、言わずもがな甲羅や骨の成長に重要です。
それに加えて、「リン」とのバランスも考えたいところです。
「リン」はカルシウムと結びついて骨などを「硬く」するために用いられていますが、リクガメにおける理想の比率は「4~5:1」といわれています。
ここでリクガメに与えられるうち、代表的な野菜のカルシウムとリンの比率をまとめてみました。
※100g中の栄養 | カルシウム (mg) | リン (mg) | Caとリン比率 | たんぱく質 (g) | 水分 |
---|---|---|---|---|---|
小松菜 | 170 | 45 | 5:1.324 | 1.5 | 94.1 |
チンゲン菜 | 100 | 27 | 5:1.35 | 0.6 | 96 |
大根の葉 | 260 | 52 | 5:1 | 2.2 | 90.6 |
カブの葉 | 250 | 42 | 5:0.84 | 2.3 | 94 |
水菜 | 210 | 64 | 5:1.524 | 2.2 | 91.4 |
モロヘイヤ | 260 | 110 | 5:2.115 | 4.8 | 86.1 |
レタス | 19 | 22 | 5:5.789 | 0.6 | 95.9 |
サニーレタス | 66 | 31 | 5:2.348 | 1.2 | 94.1 |
きゅうり | 26 | 36 | 5:7 | 1 | 95 |
↑カルシウムを「5」とした場合の比率
さすが代表とされているだけあって「小松菜」や「チンゲン菜」のバランスは理想的です。
逆に、レタスやきゅうりなどはカルシウムとリンのバランスもさることながら、栄養そのものが少ないですね。
いずれもリクガメが良く食べる野菜ですが、栄養の面で見ると単体で与えるには心細いと言えます。
そういった野菜にはなおのこと、ペレットタイプのエサと混ぜてあげると良いでしょう。
今は「桑の葉」がベースのものも出ています。
栄養成分や原材料をみても、高カルシウムでリンとのバランスもよく考えられているので、このエサは信頼できると思います。
リクガメにとって「良い野菜」は種類が少ない
小松菜やチンゲン菜など、カルシウムとリンの比率が良い野菜はあります。
しかし、どうしても種類が少なく、かつ季節によっては手に入りにくいこともあります。
だからといって、いつでも手に入る小松菜ばかり与えるのもやはりミネラルなどの関係からバランスが良くありません。
さらに大型になれば別ですが、小松菜もチンゲン菜も「葉だけ食べて茎は残す」というリクガメが多いです。
リクガメが小さいうちならまだしも、葉っぱだけを与え続けるのもコストがかかりますよね。
カルシウムは不足しやすい
小松菜などの野菜は確かにカルシウムも豊富ですが、野菜すべてに十分なカルシウムが含まれているわけではありません。
むしろ、種類を増やしても野菜だけだと自然とカルシウムが不足していきます。
そもそも、日本はリクガメが住む現地(ここでは我が家のギリシャリクガメがいる地中海周辺とします)と比べ、土壌そのものにカルシウムが含まれていません。
そのため、毎日のエサにカルシウム粉末を添加したほうが良いです。
我が家ではこのパウダーを使っており、今でこそ気にせず食べますが、はじめはどうしても添加しないよりも食いつきが悪くなってしまいました。
どうしてもカルシウムパウダーを添加したエサを食べない場合、「このパウダーであれば食べた!」という声も聞くので、こちらもおススメです。
ビタミンD3が添加されていないものを選ぶ
カルシウムパウダーを買う際は「ビタミンD3」が添加されていないものを選んでください。
ビタミンDは本来、紫外線を浴びることで生成されますが、脂溶性でもあるためエサにまで添加すると過剰症になる危険があります。
エサはエサ、紫外線は紫外線で考えましょう。
「バリエーション」 を広く持つことが大事
- リクガメの多くは「草食」
- カルシウムとリンの比率4~5:1
- タンパク質は控えめに
リクガメが食べられる植物はたくさんありますが、あまり偏ったエサばかり与えるのは良くありません。
じゃあどうするのかというところなんですが、我が家ではこういった感じでエサをあげてます。
こんなんじゃわからん!
そんな声が聞こえてきそうなので、内訳を言うとこうなります。
野菜、野草についてはリクガメのエサとして与えられるものであればなんでも良いです。
大事なのはその時その時で与えられる旬の葉野菜、もしくは野草をベースに、ペレットやカルシウムパウダーで補填するイメージです。
また野菜だけではどうしても繊維質も不足するので、ウサギのエサで有名なチモシーを混ぜています。
チモシーはどうしてもそのままでは食べないので、ミキサーで頑張って粉末にしました。
お茶ではない、チモシーを挽いているのさ。#リクガメ#ギリシャリクガメ pic.twitter.com/k506oxBeLf
— ミーゴラン │ その先へ (@thrs_f) December 11, 2021
チモシーは安く手に入りますし、低タンパクかつ繊維質もたっぷりでサプリメントのように添加できるのでおススメです。
まとめ
今回はリクガメのエサの中でも、栄養面の大筋について紹介しました。
まとめるとこんな感じです。
- リクガメの多くは「草食」
- 飼育下でのリクガメのエサは「野菜・野草」が中心
- 基本は「高カルシウム・高繊維・低タンパク」
- カルシウムとリンは「4~5:1」が理想
- カルシウムパウダー、牧草で栄養アップ
- ペレット、市販のエサはトッピング程度に
特にカルシウムと繊維質は野菜だけではどうしても不足するので、まずはこの2点を抑えていただければと存じます。
かつ、あとは1種類のエサだけを延々とあげないように意識すれば、失敗は少ないでしょう。
終わりに
リクガメは、本当に長寿な生き物です。
きちんと飼育すれば、犬や猫よりずっと長生きします。
そんなリクガメと付き合っていくのに、毎日のお世話がしんどくなってくるような給餌の仕方はもちません。
かといって、単一のエサや栄養のない野菜だけあげていると、いずれリクガメが弱ってしまいます。
また、カルシウムとリンのバランスは4~5:1とお伝えしました。
確かにそれが栄養学上、理想なのだろうなとは思います。
ですが、果たして野生のリクガメがそんなバランスを考えて食事をしているかというと、きっとそうではないでしょう。
野生下では野草だけではなく土や虫などからもミネラルなどを摂っているかと考えられていますが、その代替を人間が行うことになります。
リクガメの栄養バランスと共に、人間側が給餌する手間と考える労力のバランスを取りながら、長くゆる~く続ける心がけをしていきたいですね。
ではまたまた~ノシ