はじめに:会社の正体
独立支援や海外研修など、耳障りの良さに惹かれて働くことを決めた会社。
先に少しこの会社のことを詳しく話しておくと、前回「営業職(正社員)と総合職(業務委託契約の完全歩合)どちらが良いか」と聞かれたことから始まります。
この会社は、というよりこの系列の会社は多くの場合似たような求人を出しては、正社員とは異なる「総合職」を選ばなかった希望者はすべて落としていたようです。
つまり、実質は正社員の募集は行っておらず、(業務委託で完全歩合でも)やる気のある人員のみを選別していたそうです。
事実、私が転職希望を出してからおよそ半年で会社を去るまで、同じように業務委託でしか人員は増えませんでしたし「正社員」と呼ばれる人は社長を含め1人もいませんでした。
「DS-MAX」や「ニューポート」で検索すると今でも情報がでてきます。
DS-MAXは、提携する独立採算制訪問販売会社に商品を委託する卸売会社であり、北米・南米・ヨーロッパ・アジアに点在する架空の巨大組織。いわゆるマルチ組織である。 フランチャイズではないため経営権の売買等はできず、参入するにはダイレクトセールスから始める。
中にはその系列の会社だけをまとめたサイトなんていうのも出てきます。
この記事を書いていて「いまだにあったんだ」という思いと、それでもビジネスが成り立っているのであれば法に触れることはしていないのでしょうし、そのすべてを否定する気はありません。
ただ自分としても記録と記憶に残るよう、合わせて甘い誘い文句と勢いだけで仕事を決めてしまう人が一人でも減らせればと思い、覚えている限りで要点をまとめていきます。
初日から不安な立ち上がり
話を戻し、初出勤日。
まだ暗い6時前の電車に乗り込み午前7時に間に合うように出勤、オフィスのドアを開けできる限り元気よく挨拶をする。
すると、それを圧倒するように大きな声での返答が返ってきました。
初日だったこともあり、まずは面接を行った社長に机にかけて待つよう促されました。
社長も同じ椅子にかけ、初めに契約書を交わすことになりました。
契約書といってもそう大層なものではなく、注意点がいくつかあってサインをするだけの簡素な紙一枚だったと思います。
そのあと自己紹介を兼ねてミーティングに少し参加しました。
その時は確か5-6人くらい部屋内にいたと思いますが、初日にしては威圧感があるほど全員がにこやかでかつテンションが高くて、しかも全員がキラキラした顔で自己紹介をした後夢を発表していてすごかったです。
7時から集まって初めはあまり何をしているか周りが見えていなかったですが、9時前には全員がオフィスから出ていきました。
それぞれ先日見に行ったようなデパートや店へ行くのだろうな、と思っていたところ社長に呼ばれました。
ということで商材について勉強することに。
面接のときや実際に見に行ったこともあり、ウォーターサーバーの実演販売をすることは知っていました。
商品についての説明を受け、ウォーターサーバーは小売りと異なりその場で販売するのではなく後日指定された住所宛てに送ることになるので、その申込書の書き方。
そして、今度は報酬の話になりました。
契約1件あたりの報酬は〇〇円
皆様は完全歩合の営業と聞くと、どんなものを思い浮かべるでしょうか。
私はさほど知識はありませんが、保険や不動産、広い意味でいうと自営業も含まれるのかなと思います。
また、保険であれば一件申込みをいただくと継続して売り上げの何%かが入ったり、それこそ不動産なんかだと一件契約が取れれば物によっては数ヶ月収入がなくとも良いかもしれません。
やはりリスキーな分、報酬の額も高いもの、というのがイメージにありました。
しかし、この時ウォーターサーバーの契約一件につき得られる報酬は……
1件、3,000円。
1件、3,000円。
つまり、完全歩合として最低でも料理人だった時代の給料13万強を稼ぐのであれば、一日あたり最低1-2件は契約を取らないといけない。(この会社の稼働は週休1日の月25-26日稼働でした。)
しかも、一日でも取りこぼす(契約を1件も取れなかった)場合は翌日にその分の負債を持ち越して抱えることになります。
この事実を知った後、さらに厳しい現実に直面することになります。