迫られた決断
面接を受けた会社の職場見学の流れで、実際の営業風景を見に行きました。
オフィスに戻り、再び対面となって社長と話をすることになりました。
先ほど渡された一枚の紙には、営業をかける順番(5ステップ)が書かれており、確かテスト内容というのはその順番通りに並び変えるといったものだったと思います。
恐らくは形式上のもので、ここで人を見るというよりもこの後の質問が重要だったというのはこの後知ることになります。
ここでピンと来た方、さてはこの話聞いたことがありますね?
詳しくはこちらに書いていますが、この時前者を選ぶと自動的にお祈りとなるようです。
私もこの時は「いずれは経営者となりたい、縛られない生き方をしてみたい」という漠然とした気持ちも強くありました。
「完全歩合制」の選択肢
ただここで問題なのが、総合職を選択した場合は基本給はなく「完全歩合制」であるという点でした。
つまり、売り上げが0なら報酬も0。
完全歩合制となると「社員」ではなく「業務委託契約」を結んでの業務になる。
そう説明されたものの、いまいち違いはわかっていませんでした。
ただやはり「売り上げが0なら報酬も0」、この点はかなり恐ろしくもありました。
一人暮らしをしていて、これまでの生活費は自分で賄っていた。
しかも仕送りはもちろん、貯金もない。
調理師だったとき、もちろん高い給料ではありませんが安定して給与は支払われていました。
しかしここで後者を選択して失敗すると、それにも満たないか下手をすれば連日「時給換算にして0円」なんてことも……
ここはかなり悩んだと思いますが、この時は場の高揚感も手伝い「やってみればわかる!何事も経験だ!」と飛び込むことを決めました。
「ハイリスクなことはハイリターンなこと」と、狭い見聞でそう思い込んでいました。
調理師→完全歩合の営業マンとしてリスタート
かくして転職先(といっても業務委託なので実際に会社に入ったのとは少し意味合いが違いますが)も決まり、早速翌日から働くことになりました。
ここまでは退職してから10日かかっていなかったと思います。
何分就職活動を行ったことがなかったので、1か月以上職が決まらなかったらどうしよう等と考えていましたが、働き口が決まりこの時は一安心していました。
翌日、会社からはオフィスカジュアルな服装ならスーツでなくともよいと聞いていましたが、スーツ以外にそういった服を持っていなかったためスーツで出勤。
7時には集合ということで、朝の6時前の電車で出発しました。
季節は2月、外は真っ暗でした。
7時前に会社に到着しましたが「できれば昨日見た感じのテンション(元気いっぱい)で入るのが正解なんだろうな」と思い、できる限り大きな声であいさつをしながら入ってみました。
すると、それを圧倒するかのような大声で返事がきました。
自身も学生時代にはスポーツをしていたので、こういった体育会系の雰囲気は初めは好感もあり、心の温度も少し上がりました。
ただし、その熱が冷え切るまでに時間はかからないことを思い知ることになります。